5日目は二つ目の遠出をし、シャンパーニュ地方へ向かいました。

フランスと言えばワインだ。

ブルゴーニュのワイナリーには次女、恵子が辻調理師専門学校のスタージュ(実習)を終了し帰国する前の1週間を一緒に過ごした時に案内して

もらっているので、今回はシャンパーニュ地方のワイナリーを訪ねたかった。 

 

パリ東駅から145キロと流石に遠いが、フランスには新幹線TVGがある。ランスまで45分。

ランスではノートルダム大聖堂とフジタ礼拝堂を見学。 

フジタ礼拝堂では日本人観光客に逢ったが今回の旅行では夏休みが終わっていたのでほとんど日本人には逢わなかった。

ノートルダム大聖堂では入館はフリー、祭殿近くにシャガール作成のステンドグラスを見ることができる。(写真34,35)

 

ランスの駅中レストランで腹ごしらえをする。 私は牛肉のタルタル料理を、シャンパンフルートでシャンパンを頂く。

石田君はビーフステーキ、どちらも多過ぎるポテトフライが付く。(写真36

 

ランスはシャンパーニュ地方の中心都市。

世界に名高いシャンパンメゾンが街中に点在しており、2015年世界遺産に『シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーブ』として登録された。

 

 

 

ランスで電車を乗り換えシャンパンメゾンのモエ・エ・シャンドンへ到着。

入り口にはドン・ペリニオンがお出迎えである。ここの技術者だったと知る。(写真37

メゾンの入館料は25ユーロ(3125円)、ガイド付き、シャンパン1杯だけど試飲付き。

2杯目からは有料、2杯目を注文した人は居ないようだった。(写真38,39,40

 

瓶詰めされたワインは気泡がより繊細になるために、ワインセラーで数年間熟成の時を経た後に、ルミアージュ(瓶を回転する作業)に入る。

瓶の口の方に沈殿物を溜めるために毎日少しずつ手作業で回転させるというのだからシャンパンが貴重品といわれるわけです。(写真41

 

 

ナポレオン1世がセントヘレナ島へ幽閉される前に「最期の望みは何か?」と問われ「モエ・エ・シャンドンのシャンパンが飲みたい」と

言ったのでシャンパンの大樽が用意されたが、飲まないまま流刑地に旅立ったそうです。(写真42)

 

パリでの朝食は、石田君の賃貸住宅から徒歩3分のレストランのカフェテラスでした。

7日間通してクロワッサンとカフェオレ(写真43)で、出勤するお勤めの男女や朝食を摂る老人を横目にし、朝の街の光景を目に焼き付けていた。

 

初めてパリを訪れたとき「街並が美しい」と感じたのは建物が5階建てに統一されていること、道路が車道と歩道の幅が日本と逆で歩道が大変広いので、至るところにカフェが歩道に突き出していることだ。

建物の高さが統一されたのは、ナポレオン三世が1850年頃「パリ大改造」を豪腕男のジョルジュ・オスマンをセーヌ県知事に任命し一気に成し遂げたお陰なのだ。二人の権力者なしには、現在のパリは存在し得ない。

 

同時に非衛生地区のスラムを撤去し、大通りにマロニエの並木を植え、地下に下水溝を張り巡らせ、パリ中央市場を開設した。

交通網が整備され、主要大通りが開削され,駅と交差点が拡張整備され、ガス灯の普及が図られた。

直線的な大通りが作られたことにより、必要な場合に、民衆蜂起を弾圧することが容易になった。

パリはオシャレな街の顔とギロチンが象徴する権力者と大衆の緊張関係の顔が潜んでいるのだ。(写真44

この日の夕食は徒歩でガレットのお店に行きました。

16年前、次女・恵子とモン・サン・ミッシェルの参道で初めて食べたガレットとは大違い。

生地はそば粉で同じだがハムやチーズの具が一杯入っていてボリュームたっぷりなので、シードルというリンゴ酒と一緒に食べるとほぼ夕食になる。

 

店内は満席で会話が聞きづらいほど騒然としている。私たちの周りには3人連れの女性客、子供を連れた6人の家族連れ、カップルの男女と様々で良く喋る国民だと感心した。(写真45


終わりに:

 

9月初めのパリの気候は、22度から25度、夜は15度まで下がり30度の夏日が続く日本から来た者には天国でした。

1週間1日も雨は降らず太陽が照りつけるときのみ帽子を必要とする程度でした。

10年ぶりの海外旅行で、石田君の誘いとパリ滞在中のお世話がなければ有り得ない貴重な体験でした。

 

ナポレオン3世の時代にほぼ出来上がったパリの街並みは、半世紀を経ても基本的に変わっていない。

でもいくつかの新しい建造物ができておりちゃんと昔からある建物とマッチしているのは、フランスの文化そのものなのだろう。

今回は記憶を辿りながら懐かしい場所や初めて御目に掛かる建造物を見学した。

 

 

 

恋人たちに人気の新名所、ジュテームの壁。(写真46)  

パリ新都心(写真47)  

長い長いエスカレーターでパリ市内を見下ろせるポンピドゥセンター(写真48

2018年4月オープンした「光のアトリエ」アトリエ・デ・リュミエール(写真49)など。

 

 

 

パリから離れて初めて訪ねたのは、モネの邸宅と睡蓮の池。

シャンパーニュー地方のメゾンとカーブの代表的な一つ、モエ・エ・シャンドンの二つ。

 

セーヌ川の河畔のウオーキングでほぼ80歳になる同級生二人の健脚を誇らしく思った旅でもあり、

普段の筋トレによる体力の維持の大切さを確認した旅でも有りました。

 

                        (2020年1月3日記す)